トランプ米国と習近平中国は
南シナ海問題で衝突しない!?
中国の海上覇権戦略を知る。
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
南シナ海は中国海南島にある戦略核ミサイル原潜の基地の接続水域であり、南シナ海の島々の中国の軍事拠点が完成されることで、この海域は中国原潜のサンクチュアリとなり、米国の影響力を第二列島線の向こうまで後退させるという戦略目標への実現の一歩となる。
このように考えると、南シナ海については、中国としては当面は派手な挑発行動をするよりも、態度を軟化させたふうに見せようという戦略にシフトするのではないかと思われる。ただ、態度が軟化したように見えても、南シナ海の軍事拠点化は確実に進められる。
南シナ海で着実に実行支配強化を進める一方で、六月あたりから東シナ海に対して軍事挑発行動をとり始めたのは次の段階への布石ではないだろうか。
強大な軍事力と経済力を持つ国が新しいルールメーカー
南シナ海は東シナ海とつながって第一列島線の内側を形成する。南シナ海の軍事拠点化が完成すれば次は東シナ海が狙われる。
尖閣諸島をめぐって日中の軍事的対立、緊張が今以上に高まることになるわけだ。習近平政権は今現在まだ解放軍の軍権を完全に掌握していないといわれているが、もしフィリピンとの外交成果として南シナ海軍事拠点化が完成すれば、解放軍の習近平に対する忠誠や信頼は強まるかもしれない。
中国は将来的に米国の二倍にあたる潜水艦保有を計画しており、海軍力が高まった中国との対峙は、今とは比べ物にならないほどの脅威となるだろう。